飛魚

中島裕翔くんのファンです

心をひとつに

このダイアリをもうやめよう、閉じてしまおうと思ったことが2回あります。
そのうち1回は2011年3月11日の大地震のあとでした。


長くなってしまったのでたたみます。
震災について書いたエントリです。
もしかしたら気分を害される方もいらっしゃるかもしれません。
そうなったら申し訳ないので、いやな予感がする方は回避してください。



何をどう書いたらいいのか、わからなかったんです。
どんな言葉を並べても嘘というか虚飾というか、本当の心からの言葉は「混乱」ただ一言で、というか被災していない私が何か書いたところで気分を害するだけなんじゃないか?こういうときに大地震のこと以外を考えているっていけないことかもしれない?と更新するのをためらいました。
テレビをつければショックな映像が流れて、正直なところ私は見ていられませんでした。そのことも、被災地の痛みから逃げている??痛みを分け合えないなんて日本人として恥ずべきことかもしれない??と、そう思うともう何をどう書いていいやら、もう何も書けない、書けることは何もないから閉じてしまおう。と、そう思いました。


でももしも、もしも私のダイアリを暇つぶしにでも読んでくださっている人が被災された方のなかにいて、その方がもしもネットに繋がる状況で、ここにアクセスしてくれたら、やっぱり閉じてたら寂しい思いをさせてしまうかもしれないなぁとも思いました。


それでも、それなら、なおさら何か書くべきじゃないのか?はっきりと私の所在地を記載していないダイアリですから、更新しなかったら被災したと思われるかもしれないし、それでもしも心配してくださる方がいたら申し訳ないにも程がある。でも何を書けばいいの?


長い間迷って揺れて、結局ふんぎりもつかないままに放置状態にしていました。
やっと更新できたのは5月になってのこと、大地震については何も触れずにしれっと裕翔くんのハートリングメモの感想をアップしたのでした。
あれは裕翔くんのハートリングメモがほんっとうに可愛くて綺麗でかっこよくて美しくて感動したので、そのパッションを平手打ちのようにたたきつけたエントリでしたなあ……


そのあとも大地震については言及を避け続け、やっと少し書けたのは6月で、それ以降もマーチングJ活動についてさえも触れずにいた間の9月11日のこと、Bob Jamesという人が日本でいわてジャズ2011というイベントに出演しました。


Bob Jamesという人はジャズピアニストです。代表曲だと何があるでしょうか、私は父の影響で聞き始めたのでどれが有名かはよく知らないのですが、聞いていると心がなんとなく丸く鮮やかになるんです。Fourplayというバンドにも所属していて、私は曲自体だとFourplayのほうが好きです。
その人が、岩手にピアノを弾きに来たときのドキュメンタリーを見ました。


Bob Jamesは日本にもう30回を越えるほど何度も来ていて、私も2011年の7月7日に横浜まで演奏を聞きにいきました。日本に来るとインスピレーションをもらえるのだそうです。そう語りながらBob James被災地に行き、震災から半年経ってもいまだ撤去されていないがれきや、地上に乗り上げた船のある街を歩きました。盛岡の伝統のお祭りを見ました。そして浮かんだ1曲を、楽譜におこしました。曲のタイトルは「Put your hearts together」。心をひとつに。


Bob Jamesは、大船渡で活動していたアマチュアジャズバンドのサンドパイパーズのみなさんにその楽譜を渡しました。限られた時間のなか、津波の被害にあわなかったプレハブで練習をし、本番に臨みます。
松居慶子さんとの連弾から始まる曲。バイオリンの寺井尚子さんが音を重ね、途中でするすると幕があき、サンドパイパーズが演奏に参加します。


本番終了後の打ち上げで、サンドパイパーズのドラム担当の方がBob Jamesの席に来て、Bob Jamesの手を握り、通訳さんを通して話しかけました。


「私は津波で家も思い出もすべて流されました。
昨日まで、つらくて、練習をするのも大変でした。
でも、今日、あなたの曲を演奏して、明日からがんばろう、
前に進もうという気持ちになりました。
ありがとうございます。ありがとうございます。
本当にありがとうございます。」


Bob Jamesは両手で握り返し、
「あなたにはいい思い出もつらい思い出もあるでしょう。
今日のことをいい思い出にしてください」
と言葉を返します。
ありがとうと言ってその方が席を立ってから、Bob Jamesは嗚咽をこらえきれずに溢れる涙をおしぼりで拭きました。


たくさんの楽器が奏でる音がまとまってBob Jamesの曲をつくりあげる映像は、まるでとても大きなひとつの花束をみんなで完成させているようでした。
心をひとつに、することが、とても困難なことだとしても、
心を寄せ合うことは出来るのかなと思います。


いわてジャズ2011を終えて帰国してから、Bob Jamesは曲のタイトルを変えました。
「Put our hearts together」心をひとつに。私たちの心をひとつに。
被災者の方の気持ちをわかることは出来ませんし、
わかったようなこともいえません。
でも被災地に心を寄せることは出来ます。
1年以上経ってしまいましたが、やっと書く事ができるようになりました。


地震で被害をうけた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
今後も募金という形で、ほんとうに微力ではありますが、
復興のお手伝いをさせて頂きます。


スターどうもありがとうございました。