飛魚

中島裕翔くんのファンです

重なる、重ならない

「40カラット」で薮くんが演じるウィルはとっても女心をくすぐる役柄でした。お金持ちで、賢くて、ちょっと強引で優しくて、思いやりに溢れていて、大地真央さん演じる年上女性に一途。
劇中薮くんはキュンとするセリフをたくさん言うのですが、私のうしろで観劇していた方が薮くんのファンだったようで、そういうセリフのたびに「悲鳴をかみ殺して口の端から逃がす」フシューッという音が聞こえました。ラストシーン、ウィルがリザの部屋から荷物を持って空港へ出かけようとリザの帽子をかぶって出て来る、とーっても可愛い薮くんを見てその方はもう興奮してしまったらしくて、「フィーッヒヒヒ、ヒヒ、フィーッ!」ともう笑いがとまらなくなっていました。なんか良かったね。そんなに喜んでもらえたら、薮くんもやった甲斐があったろうよ。


9月2日に大阪の劇場で封切りになったこの舞台は9月24日に東京芸術劇場で千秋楽を迎えるまで約1ヶ月間やっていて、薮くんファンの方が何度も劇場に足を運び、今日の薮くんはどうだったこうだったとレポしているのを大変うらやましく見ていました。
いいな〜。わたしも裕翔くん1ヶ月に何度も見た〜い!
と思ったのですが、40カラットの舞台に立っているのは薮くんじゃなくてウィルなんですよね。
薮くんだけど薮くんじゃない。これってどう受け取ったらいいんでしょう?


堺雅人さんはエッセイで「だれかそこにいて」というときのための僕たちは雇われている、と話していましたが(「半沢直樹」高視聴率おめでとうございます!)、ジャニーズってそうじゃないじゃないですか。わたしは薮くんが出ていなかったら40カラットは観にいっていないし、裕翔くんが出ていなかったら半沢直樹も見ていないし。


たとえば先日観た「熱海殺人事件」。これは大山金太郎と戸塚くんがオーバーラップしていたところも、その魅力に大いに作用していたように思います。ダイアリに残っている感想ではうまくいえなかったけど、「愛ちゃんを殺すことで、愛ちゃんと五島で暮らす自分のことも殺してしまった大山金太郎」と、「ジャニーズ事務所を辞めようとしたけどひきとめられて辞められず、ジャニーズではない人生を歩く自分を殺した戸塚祥太」が重なったからこそ、衝撃が大きかったのだと。
戸塚くん以外の役者が演じていたら、きっとあそこまで「残る」舞台にはわたしには、なっていませんでした。


ジャニーズ以外の役者さんを好きになったことがまだないのでわかりませんが、「その人」が好き、「その人の顔だけでなく考え方や仕草や口癖などまるごと」が好きな人が、「その人」ではない振りをして舞台にたっている場合ってどういう風に受け止めればいいんでしょうね。
本人と役柄を重ねる。本人と役柄が重ならない。
顔のアップがないぶん、ドラマとはまた違うような気がします。


「フィーッヒヒヒ」の方は、「薮くん」が甘い言葉を言っているように受け止めて、フィーッヒヒヒって言ってたのかなあ。それとも女性の理想の年下男子像みたいなウィルそのものにフィーヒヒしてたのかなあ。
裕翔くん演じる男の子に見とれてみたい。
だから裕翔くんは堀北真希さんをスミレちゃんにして、「きみはペット」やろう。